石粉の混合効果についてADcan

石粉の粒度は0.075mm通過率で70%以上が規格です。通常使われているものは85%程度以上のものが多いようです。ここで石粉と云えば,言葉どおり粒径が0.075mm以下の「石の粉」であるということになります。石粉をフィラー(Filler)ともいいます。辞書によると,混ぜ物,詰め物,などの意味であります。アスコンの合成骨材を考えるとき,石粉を混合することは,合成骨材の間隙をフィラーで詰めるということになります。即ち,石粉を増やすことは骨材間隙を減らすことになります。そうすると,合成骨材にアスファルトを混合すると残った間隙が「空隙」であるから,「空隙率」が減少し「わだち掘れアスコン」になるというわけです。このように考えると石粉量は少ない方が良いのではないかとなるがそう単純なものではないようです。

それではなぜ石粉を使うのか? この答は以下のようなことになります。

アスファルトは高温になると液状化する。即ち「液体」になる。アスコンが舗設され夏期に60℃以上になることがあります。するとアスコン内のアスファルトは液体となって流れ出してしまうので,これを防ぐ方法が石粉の混合なのです.石粉とアスファルトの混合物を「フィラービチュ-メン(以下,FB)」といいます。(ビチュ-メン=アスファルトのこと) アスファルトをFBの形に加工すると液状化しないというわけです。そこでFBの形成に必要な石粉量がどの程度なのかの問題となります。この問題は昔から多くの研究者が取り組んできたのですが,明確な答えはないように思えます。以下に石粉に関して過去から言われてきたことを記してみます。

マーシャル試験の全盛期にはFBを多くするとマーシャル安定度が高くなるので石粉の多い配合となりました。その結果アスコンの空隙率が小さくなって「わだち掘れ舗装」が多発したのです。米国でもこれに困って安定度試験は早々に姿を消すことになったのです。わが国でも困りマーシャル試験に変わるべき試験法がないため,安定度を低く抑えるなどの工夫(石粉を減らす)をしながら現在に至っているわけです。(このようなことから,再生アスコンに用いる古い舗装廃材の抽出ふるい分け試験の結果では石粉量の多い再生骨材となっているようです。)

石粉の量は昔からアスファルト量と同量が基本と云われてきました。これにも確たる理論があるわけではないと思います。しかし、今後どのように考えたら良いのかの結論らしきものをまとめておく必要があるので,私見をまじえ記してみます。

石粉量(%)と言ってきましたが,以下では合成骨材の0.075mm通過率で話を進めます。

最初に結論らしきものを述べると「合成骨材の粒度で0.075mm通過率はアスファルト量の60%以上あればFB作成には十分である。」と考えてみました.(これにも確たる理論はありませんが,長期供用性良好な中央高速道路の例を参考にしています。)

(仮計算)

石粉の0.075mm通過率85%とする。密粒度アスコンのアスファルト量5.5%とする。

必要石粉使用量 = 5.5×60÷85 ≒ 4% (0.075mm通過率 ≒ 3.5%,いずれも概算)

即ち,通常の密粒アスコンのAs量5.5%とすると,石粉量4%(0.075mm通過率3.5%)以上となる.これはほんの目安であるが,石粉量4%以上であれば良いとします。

追記:再生アスコンで再生材混合量60%以上使った場合またはScr.を多く使った場合、石粉量を0(ゼロ)でどうか? 答:理論的には0%で良いと判断されるが,最低限1%を混合することが望ましいと考えます。