モンゴル・ウランバートルの体験記

当社技術顧問 早稲田大学理工学研究所客員研究員 郡司保雄 博士による体験記 モンゴル・ウランバートルでの技術支援時にADcanの根幹に当たる「VMA計算シート」を使い高品質の舗装技術をモンゴルに広めた体験記です。

モンゴルでも使用した「VMA計算ソフト」の改良版「空隙率シミュレーションソフト」のデモ版を配布中です。 問合せフォームよりお問い合わせください。

空隙率シミュレーションソフト機能強化

アスファルト混合物の空隙率シミュレーションソフトを機能強化しました。

合成粒度を決定する、骨材の粒度、配合率、材料単価のシミュレーション画面が追加されました。配合率のシミュレーションと同時に原価計算ができます。

強化内容
合成粒度入力時に配合シミュレーション画面から材料粒度、配合率、原価入力を可能にしました。

 

 

石粉の混合効果についてADcan

石粉の粒度は0.075mm通過率で70%以上が規格です。通常使われているものは85%程度以上のものが多いようです。ここで石粉と云えば,言葉どおり粒径が0.075mm以下の「石の粉」であるということになります。石粉をフィラー(Filler)ともいいます。辞書によると,混ぜ物,詰め物,などの意味であります。アスコンの合成骨材を考えるとき,石粉を混合することは,合成骨材の間隙をフィラーで詰めるということになります。即ち,石粉を増やすことは骨材間隙を減らすことになります。そうすると,合成骨材にアスファルトを混合すると残った間隙が「空隙」であるから,「空隙率」が減少し「わだち掘れアスコン」になるというわけです。このように考えると石粉量は少ない方が良いのではないかとなるがそう単純なものではないようです。

それではなぜ石粉を使うのか? この答は以下のようなことになります。

アスファルトは高温になると液状化する。即ち「液体」になる。アスコンが舗設され夏期に60℃以上になることがあります。するとアスコン内のアスファルトは液体となって流れ出してしまうので,これを防ぐ方法が石粉の混合なのです.石粉とアスファルトの混合物を「フィラービチュ-メン(以下,FB)」といいます。(ビチュ-メン=アスファルトのこと) アスファルトをFBの形に加工すると液状化しないというわけです。そこでFBの形成に必要な石粉量がどの程度なのかの問題となります。この問題は昔から多くの研究者が取り組んできたのですが,明確な答えはないように思えます。以下に石粉に関して過去から言われてきたことを記してみます。

マーシャル試験の全盛期にはFBを多くするとマーシャル安定度が高くなるので石粉の多い配合となりました。その結果アスコンの空隙率が小さくなって「わだち掘れ舗装」が多発したのです。米国でもこれに困って安定度試験は早々に姿を消すことになったのです。わが国でも困りマーシャル試験に変わるべき試験法がないため,安定度を低く抑えるなどの工夫(石粉を減らす)をしながら現在に至っているわけです。(このようなことから,再生アスコンに用いる古い舗装廃材の抽出ふるい分け試験の結果では石粉量の多い再生骨材となっているようです。)

石粉の量は昔からアスファルト量と同量が基本と云われてきました。これにも確たる理論があるわけではないと思います。しかし、今後どのように考えたら良いのかの結論らしきものをまとめておく必要があるので,私見をまじえ記してみます。

石粉量(%)と言ってきましたが,以下では合成骨材の0.075mm通過率で話を進めます。

最初に結論らしきものを述べると「合成骨材の粒度で0.075mm通過率はアスファルト量の60%以上あればFB作成には十分である。」と考えてみました.(これにも確たる理論はありませんが,長期供用性良好な中央高速道路の例を参考にしています。)

(仮計算)

石粉の0.075mm通過率85%とする。密粒度アスコンのアスファルト量5.5%とする。

必要石粉使用量 = 5.5×60÷85 ≒ 4% (0.075mm通過率 ≒ 3.5%,いずれも概算)

即ち,通常の密粒アスコンのAs量5.5%とすると,石粉量4%(0.075mm通過率3.5%)以上となる.これはほんの目安であるが,石粉量4%以上であれば良いとします。

追記:再生アスコンで再生材混合量60%以上使った場合またはScr.を多く使った場合、石粉量を0(ゼロ)でどうか? 答:理論的には0%で良いと判断されるが,最低限1%を混合することが望ましいと考えます。

アスファルト混合物の空隙率シミュレーション

アスファルト合材の配合設計で手間と時間を労することは、マーシャル安定度試験ですが、事前に目標とする空隙率が解れば、配合を決めなおす手間が、極限的に少なくなります。

毎年新年度の配合を組みなおす程度であれば、皆さんそれほど重要視していませんね、同じ砕石屋さんから、ほぼ前年と同一の材料を仕入れ、同じアスファルトメーカーさんから、同じ規格のアスファルトを仕入れ、配合設計を行うわけですから、でも他の低価格の砕石屋さんから、仕入れることになったり、発注先から使用骨材を指定されたりしたら、配合設計は慎重になりますよね。

そんな時、このシミュレーションシートが威力を発揮します!

シートに入力するデータは 骨材の選択アスファルト密度決定AS%合成粒度(室内配合決定合成粒度)の 4種類の情報だけです!

デモ版 Excelシート配布中です。 お問い合わせください。

※参考資料 ADcanシステム開発と骨材間隙率計算方程式

『舗装 7月号』(株式会社建設図書 発行)にADcanの根幹理論解説が掲載されます!

この度,株式会社建設図書から出版の「舗装」誌(2018年7月号)に下記題名の報文が掲載されることになりました。

アスコン締固め空隙率と計算空隙率の相関関係
―アスコンの配合設計は試験供試体を作製せずにパソコンでも可能か―
郡司保雄 元NIPPO㈱ 早稲田大学 理工学研究所 客員研究員 工博
赤木寛一 早稲田大学 理工学術院 教授 工博

この報文は副題にもあるとおり,「アスコン配合設計はパソコンで可能」とすることを趣旨とした内容であります。
「舗装」誌は舗装構築技術を扱ったわが国では高評価の月刊誌です。掲載までに,編集委員会の厳格な審査(査読)があり投稿してから1年を要しました.その間,査読の主な内容は「アスコン配合設計がパソコンで(計算で)できるかどうか」が焦点であったように感じました。その点に関し詳細な質疑応答がありました。
編集委員会のメンバーは,元国交省土木研究所舗装研究室,大学教授および各舗装会社の技術研究所など,舗装技術の研究に携わっている方々で,わが国の舗装技術に関し中心的役割を担っている方々で構成されています。そこで,非常に厳格な審査が行われました。これにより,「舗装」誌への掲載はわが国の舗装界で認められたものとの位置づけになると考えます
「舗装」誌では「アスコン配合設計がパソコンで(計算で)できる」ことについて詳細に述べています。これが可能になることは,アスコンに対する今までの考え方を根本から変えるものであると思います。従来のアスコン配合設計方法は,マーシャルランマで締め固めた試験供試体を多数作製し,空隙率や飽和度を測定して判断する試験中心の設計方法でありましたが,それで安全配合かどうかさえ確認できなかったのです。これからは,理論的に正しい配合設計がパソコンで可能となり,試験供試体作製は最終確認だけでよく,安全・安心なアスコン配合設計ができるからです

以上,詳細については「舗装」誌をご覧下さい。株式会社建設図書

ADcanプラント設定イメージフローチャート追加

ADcanシステムでは「プラント設定」がすべて自動計算で設定できます。
何番のコールドホッパーにどの材料が入っているかの番号合わせを行い、ホットビンの所定の粒度だけを入力して、自動計算 ボタンの一押しで「プラント設定」ができます。計算イメージを解かり易く説明しています。PDF