細粒材の使い方

密粒型アスコンの細粒材として、通常は「砂」である「粗砂、中目砂や細砂」を用いている。
古くは「スクリーニングス(以下、「Scr.」)」も用いられていたが、永い年月の間にScr.」は使用されなくなってしまったようである。それは、アスコン工場ではアスコンの流動現象(わだち掘れ)で苦しんできた過去があり、その原因の一つが「Scr.」の使用にあると判断されたためです。後になって解るのだが、この判断は正しかったのであった。

一方、「砂」は採掘規制などもあり品薄となっている。特に、コンクリートプラントでは場所により困った状態にあります。「粗砂」は高価となっており、中国からの輸入砂が東京湾に入ってきているという話も聞いています。コンクリートでは高価な輸入砂でも採算がとれるようであります。
アスコン工場ではこの高価な輸入砂をただ安全だという理由だけで使用している工場もあるよ
うですが、これは問題が大きいと思います。それは、他にも方法があるにも拘わらず、
何の検討もしないからであります。

「アスコン配合-細粒材の使い方(粗砂とScr.の差)」をご覧下さい。(添付してあります)
小生が施工経験した「中央道府中舗装工事(1967年施工)」は「長期供用性良好な舗装」
として旧道路公団総裁感謝状が贈られたのです。本工事は「Scr.」の使用が義務付けられて
いたのです(特記仕様書に記載あり)。使用しても問題はなかったのであります。

その後になってかなり永い時間経過があり、一般道路でも「Scr.」が使用されていたが、
「わだち掘れ」が多発して、その原因が「Scr.」にあるようだと判断され、使用されなくなったのであります(おおよそ30年程度が経過していたと考えられます)。

ここに紹介している「AD can system」を使用することによって、「Scr.」を配合設計に使用しても流動現象(わだち掘れ)は発生しないようにできるので改めて述べたく思うのです。
とにかく、製造原価で400円/t 以上安くなるので、この差は非常に大きなものなので
各工場でご検討されては如何かと提案したいのであります。(以上)

新年明けましておめでとうございます。

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密粒型アスコン配合設計における細粒材の使い方(粗砂とScr.の使い方)

「アスコン製造工場50年の歩み」(添付ファイル参照)でも述べているが、アスコン工場では舗装の「わだち掘れ」で苦しんできた永い過去があり、その対策に確たる理論背景も無いままに、さまざまな対策を経験してきているのです。ここではそれらの背景などを述べてみます。
マーシャル安定度試験が導入された当時は安定度( Stability)を高くすることが良いとされていた(1965年頃)。ここで、安定度を高くするためには、「フィラービチュウメン(Asと石粉の混合物)」を多量にすることが必要であるとされ、アスコン配合の合成粒度の粒径 0.075mm通過率(200#pass)を多くすることが良いとされていたのです。そのため細粒材として「スクリーニングス(以下、 Scr.)を使用することが良いとされていたのです。
小生が施工経験した「中央道府中舗装工事(1967年施工)」では「 Scr.」の使用が特記仕様書に記載され義務付けられていたのです。それで流動対策の一つとして「 Scr.」を水洗いして納入させ、粒径 0.005mm通過率を洗い流したのです。本工事が「長期供用性良好な舗装」として旧道路公団総裁感謝状を授与されたのですが、「Scr.」の水洗い納入などの対策が一つの効果となっているのは確かなことであると今でも思っています。
しかしながら、中央道の施工当時から時間の経過があり、おおよそ 30年程度の間にさまざまな対策が経験されていたのです。それらの一つが「 Scr.」を使用しない方が流動現象(わだち掘れ)は起き難いというものがありました。この方策は間違いではなく、正しかったのです。その後になって、「Scr.」を使用しない工場も多く見られるようになったのであります。(中央道の施工と旧道路公団総裁感謝状授与との間には 30年近い時間の流れがあることを考慮して下さい。この時間を考えないと話が合いませんので、注意して下さい。)
一方、砕石生産工場では「 Scr.」を使ってくれないので、処分に困ってたのです。運搬費程度で処分できるのであればと考えているようなので非常に安価に購入できる細粒材であります。
また、「Scr.」は砕石生産の過程で7号砕石以下の砕石屑でありますが、その成分は粒度構成で見ると3分割されると思います。それらは粒径の大きい順に、 ①7号砕石分、 ②砂分、③石粉分であります。それら3分割の成分は量的にはっきりしませんが、①と③がそれぞれおおよそ 10%程度、②が 80%程度のように考えてみてはどうだろうか・・・、と考えられるようであります。このように分割して考えると、配合設計するときに、 ①の7号砕石分と③の石粉分があるので、その減量効果がアスコン材料費原価の低減になっているのであります。これは大きな効果となっています。
以下、上記述べた「 Scr.」をアスコン配合設計で使用した場合、現在配合設計が行われている「粗砂」などを使用した場合と比較すると、 400円/t 以上の差があるようです。この差は非常に大きなものなので各工場でご検討されては如何かと提案しているのであります。
最後になりましたが、この「Scr.」を使用するためには「 AD can system」が必要であることは当然のことですので付け加えておきます。(以上)

ハナコプラス株式会社
技術顧問郡司保雄
工学博士早稲田大学
理工学研究所客員研究員
(元㈱NIPPO)